ばね用ステンレス鋼線 一般用

JIS G 4314ばね用ステンレス鋼線 一般用

Stainless steel wires for springs

最終更新:2024.02.14
ステンレス鋼線材(JIS G 4308)を用いて製造したばね用ステンレス鋼線です。 固溶化熱処理を行った後に伸線加工を行いますが、既にこれを施した線材を使用する場合は、伸線工程前の固溶化熱処理を省略しても良いことになっています。 真直性を要する場合には、伸線後に矯正を行います。
  • オーステナイト系ステンレス鋼

鋼種名性質と用途
SUS302冷間加工により304以上の高強度を得られる。
SUS304最も汎用性の高い、代表的なばね用鋼種。強度の伸線加工により高強度、弱磁性となる。
SUS304N1304にNを添加し、延性の低下を抑えながら強度を高めたもの。
SUS316304のNiを増量、Moを添加し耐食性と非磁性を高める。加工硬化は304より低い。
SUS631J1304のCrとNiを減じAlを添加、析出硬化系で耐熱ばね用に使用。

種類の記号区分記号分類
SUS302A種WPAオーステナイト系
B種WPB
SUS304A種WPA
B種WPB・WPBS
D種WPDS
SUS304N1A種WPA
B種WPB
SUS316A種WPA
SUS631J1C種WPC析質硬化系

記号末尾の"S"は、真直性を必要とする線を表す。


  • 適用線径
調質記号適用線径
WPA0.080以上 8.00以下
WPB0.080以上 12.0以下
WPC0.20以上 6.00以下
WPBS, WPDS0.29以上 1.60以下
JIS規格海外相当規格
ASTMDINBSIS
JIS G 4314----

  • オーステナイト系ステンレス鋼 組成
種類の記号CSiMnPSNiCrMoALN
SUS3020.15以下2.00以下0.045以下0.003以下8.00~10.0017.00~19.00---
SUS3040.08以下2.00以下0.045以下0.030以下8.00~10.5018.00~20.00---
SUS304N10.08以下2.50以下0.030以下7.00~10.5018.00~20.00--0.1~0.25
SUS3160.08以下1.00以下0.030以下10.00~14.0016.00~18.002.00~3.00--
SUS631J10.09以下1.00以下1.00以下0.040以下0.030以下7.00~8.5016.00~18.00-0.75~1.50-
  • 引張強さ
線径A種B種C種D種
SUS302-WPASUS302-WPBSUS631JI-WPCSUS304-WPDS
SUS304-WPASUS304-WPB
SUS304N1-WPASUS304-WPBS
SUS316-WPASUS304N1-WPB
0.081650~19002150~2400--
0.09
0.10-
0.12
0.14
0.16
0.18
0.20
0.231600~18502050~23001930~2180
0.26
0.291700~2000
0.32
0.35
0.40
0.451950~22001850~21001650~1950
0.50
0.55
0.60
0.651530~17801850~21001800~20501550~1850
0.70
0.801550~1800
0.90
1.01500~1750
線径A種B種C種D種
SUS302-WPASUS302-WPBSUS631JI-WPCSUS304-WPDS
SUS304-WPASUS304-WPB
SUS304N1-WPASUS304-WPBS
SUS316-WPASUS304N1-WPB
1.21450~17001750~20001700~19501470~1720
1.41420~1670
1.61400~16501650~19001600~18501370~1620
1.8-
2.0
2.31320~15701550~18001500~1750
2.6
2.91230~14801450~17001400~1650
3.2
3.5
4.0
4.51100~13501350~16001300~1550
5.0
5.5
6.0
6.51000~12501270~1520-
7.0
8.0
9.0-1130~1380
10.0980~1230
12.0880~1130

SUS304-WPBS 適用線径範囲 0.29~1.60mm
SUS631J1-WPCは受け渡し間の協定により、析出硬化熱処理(470±10℃、1時間加熱後空冷)後に引張試験を行った場合、引張強さの増加は250N/mm2以上でなければなりません。
中間にある線径については、それより太い線径の値を用います。

  • ばね用鋼線の最適低温焼鈍温度

種類振動の少ないばね
静的に使用するばね
耐疲労性を要求されるばね
熱処理温度(℃)時間(分)熱処理温度(℃)時間(分)
ピアノ線SWP200~35015~20動的用300~35020~30
硬鋼線SW静的用200~25020~30
炭素鋼オイルテンパー線SWO200~35015~20300~35020~30
弁ばね用クロムバナジウム鋼
オイルテンパー線
SWOCV-V230~40015~20300~40020~30
シリコンマンガン鋼
オイルテンパー線
SWOSM230~40015~20300~40020~30
弁ばね用シリコンクロム鋼
オイルテンパー線
SWOSC-V300~45015~20400~45020~30
ステンレス鋼線SUS302
SUS304
250~40015~20350~40020~30
析出硬化系ステンレス鋼線SUS631J1470±1060470±1060

コイリング後の低温焼鈍(ブルーイング)のみに適用し、ショットピーニング後の低温焼鈍には200~250℃にて20分を適用します。
ねじりコイルばねにおいてコイリングによる残留応力を有効に生かすため、低温焼鈍をしない方が良い場合があります。
静的用:初張力を必要とする引張ばね、静的高応力ばね ⇔ 動的用:動的高応力ばね。

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