冷間圧延ステンレス鋼帯

JIS G 4305冷間圧延ステンレス鋼帯

Cold-rolled stainless-steel plate、sheet and strip

最終更新:2024.01.10

冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
SUS-CP, SUS-CS (Cold Plate, Strip)

JISにおいて代表的な規格である「JIS G 4304 熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯」、「JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板および鋼帯」のうちのひとつで、熱間と異なり常温環境下で製造されたものです。
大まかに板厚3mm未満のものを”薄板”と分類しますが、その大半が冷間圧延品です。

オーステナイト系 オーステナイト・フェライト系
SUS301 SUS304N2 SUS315J1 SUS316J1L SUS321 SUS329J1
SUS301L SUS304LN SUS315J2 SUS317 SUS347 SUS329J3L
SUS301J1 SUS304J1 SUS316 SUS317L SUSXM7 SUS329J4L
SUS302B SUS304J2 SUS316L SUS317LN SUSXM15J1 SUS821L1
SUS304 SUS305 SUS316N SUS317J1 - SUS323L
SUS304Cu SUS309S SUS316LN SUS317J2 SUS327L1
SUS304L SUS310S SUS316Ti SUS836L -
SUS304N1 SUS312L SUS316J1 SUS890L

 

フェライト系 マルテンサイト系 析出硬化系
SUS405 SUS436J1L SUS403 SUS630
SUS410L SUS443J1 SUS410 SUS631
SUS429 SUS444 SUS410S -
SUS430 SUS445J1 SUS420J1
SUS430LX SUS445J2 SUS420J2
SUS430J1L SUS447J1 SUS440A
SUS434 SUSXM27 -
SUS436L -

冷間圧延ステンレス鋼帯の特性

  共通特性 鋼種 個別特性
マルテンサイト系 焼入によって硬化します。
生材の耐食性はステンレス鋼中最も劣りますが、完全焼入状態で、完全焼入状態で表面を研磨その他の方法で平滑にした場合はかなり良くなります。
全ての状態で磁性があります。
SUS420J2 焼入によって硬化し、焼戻を調節することによってかなり広い範囲の機械的性質が得られます。
出荷状態の組織は炭化物が完全に球状化しており、焼鈍仕上材では加工性にも優れます。
RB-S SUS420J2よりもさらに炭化量を高めているため、焼入硬化が大きくステンレス鋼の中でも最高レベルの硬さが得られ、刃物等に使用されています。
焼鈍仕上げでもかなり硬く複雑な加工は困難です。
フェライト系 焼入によって硬化しません。
全ての状態で磁性があります。
SUS430 13クロム系統のものよりクロム量が多いため耐食性が良く、オーステナイト系のような加工変態も起こらないため加工し易く、ステンレス鋼の中で最も普及している鋼種です。
FS-1 SUS430よりはるかに高い硬さで十分な成形性をもち、絞り割れを生じることなく、高速で精度の高いプレス加工ができます。
オーステナイト系 焼入によって硬化しません。
非酸化または還元性雰囲気の中で耐食性が悪くなる点をNiを加えることで改善し、ステンレス鋼中オーステナイト系が最も優れています。
固溶化熱処理状態では展延性に優れ、かつ降伏点も低いので高度の加工が可能です。
加工硬化が著しいのでばねや強靭鋼としても使用できます。
固溶化熱処理状態では非磁性ですが、強い加工により弱い磁性を持つようになります。
SUS301 18-8ステンレスのクロム、ニッケルを低めた17-7ステンレスです。オーステナイトが不安定なため、冷間加工によってマルテンサイト変態が起こり、加工硬化と合わせ非常に高い強度が得られます。また靱性も大きいため、強い加工を行うバネ等に最適です。加工に伴う磁性の増加もオーステナイト系ステンレスの中で最大です。
SUS304 いわゆる18-8ステンレスと呼ばれる代表的な鋼種で、オーステナイト系の中で最もよく使用されています。
SUS304L SUS304に比べ炭素量が低くニッケル量も多い鋼種です。耐食性がよく、特に粒界腐食に対する抵抗性に優れます。
焼鈍状態の硬度が低く、加工硬化が小さいので深絞りにも適しています。
SUS305 オーステナイト系ステンレスは、固溶化熱処理状態では非磁性であり、冷間加工で磁性を帯びますが、SUS305やST-M1はこの傾向を抑制した非磁性ステンレス鋼です。
ST-M1
SUS316L SUS316の極低炭素鋼で、SUS304Lと同様、SUS316に耐粒界腐食性を付与したものです。
析出硬化系 焼入によって硬化できないオーステナイト系ステンレス鋼を熱処理によって強力化できるように改良した鋼種です。
耐食性はオーステナイト系には及ばないながら、クロム系より優れます。
SUS631 18-8ステンレスの優れた性質を保持しながら、熱処理によって硬度を高めることができる析出硬化型のもっとも代表的な鋼種です。
固溶化熱処理状態の最も軟らかいものから強圧延仕上げの硬いものまで、加工、用途に合わせて種々の熱処理を施すことによって、高炭素マルテンサイト系の焼入材に次ぐ強度を得ることができます。
固溶化熱処理状態では弱磁性ですが、析出硬化処理後はかなりの磁性を示すようになります。
SUS632J1 SUS631は固溶化熱処理状態では軟らかく、種々の加工ができる反面、これを硬化させる中間硬化処理が必要です。
SUS362J1は固溶化熱処理を行っても常温では硬くなっており、その後の熱処理は1回の析出硬化処理を施すだけでよく、簡単です。
この硬くなった固溶化熱処理材は炭素量が低く靱性もあるため、軽度の加工は可能です。仕上げ状態としては固溶化熱処理仕上げと圧延仕上げがあり、圧延仕上げの方が大きい強度が得られますが、SUS631の強度には及びません。
この鋼種は全ての状態で強い磁性を示します。
マルエージング鋼 固溶化熱処理仕上げでも硬くなっております。
全ての状態で磁性があります。
MAS-1 (MAS-1はクロムを含まずステンレス鋼ではありませんが、参考までに掲載します。)
時効硬化処理により1960N/mm2以上の強度が得られ、内質的にも非常に信頼性の高い超強力鋼の代表鋼種です。

※メーカー独自鋼種

鋼種表

分類 記号 C Si Mn Ni Cr Mo Cu その他
標準型オーステナイトステンレス鋼 SUS301 0.15以下 1.00以下 2.00以下 6.00~8.00 16.00~18.00 - - -
SUS301J1 0.08~0.12 1.00以下 2.00以下 7.00~9.00 16.00~18.00 - - -
SUS304 0.08以下 1.00以下 2.00以下 8.00~10.50 18.00~20.00 - - -
SUS316 0.08以下 1.00以下 2.00以下 10.00~14.00 16.00~18.00 2.00~3.00 - -
耐候性オーステナイトステンレス鋼 SUS304N1 0.08以下 1.00以下 0.50以下 8.00~10.50 18.00~20.00 0.20~0.60 - N0.12~0.17
S0.0010以下
耐粒界腐食オーステナイトステンレス鋼 SUS301L 0.03以下 1.00以下 2.00以下 6.00~8.00 16.00~18.00 - - N0.20以下
SUS304L 0.03以下 1.00以下 2.00以下 9.00~13.00 18.00~20.00 - - -
SUS304LN 0.03以下 1.00以下 2.00以下 8.50~11.50 17.00~19.00 - - N0.12~0.22
SUS321 0.08以下 1.00以下 2.00以下 9.00~13.00 17.00~19.00 - - Ti5×C以下
SUS347 0.08以下 1.00以下 2.00以下 9.00~13.00 17.00~19.00 - - Nb10×C以下
SUS316L 0.03以下 1.00以下 2.00以下 12.00~15.00 16.00~18.00 2.00~3.00 - -
二相ステンレス鋼 SUS329J4L 0.03以下 0.90以下 1.00以下 5.50~7.20 24.00~26.00 3.00~3.50 - N0.08~0.20
W0.05~0.30
高ニッケル高級オーステナイトステンレス鋼 NAS155N 0.03以下 1.00以下 1.00以下 14.50~16.50 17.50~19.00 3.80~4.00 2.80~4.00 N0.15~0.22
SUS836L 0.03以下 1.00以下 1.00以下 24.00~26.00 22.00~24.00 5.00~6.00 - N0.17~0.22
NAS354N 0.03以下 1.00以下 1.00以下 34.00~36.00 22.00~24.00 7.00~8.00 - N0.17~0.22
軟質オーステナイトステンレス鋼 SUS304J2 0.03以下 1.00以下 3.60~5.00 6.50~8.00 15.50~17.00 - 1.50~2.00 -
SUS304 0.08以下 1.00以下 2.00以下 8.00~10.50 18.00~20.00 - - -
SUS304J1 0.04~0.08 1.70以下 3.00以下 6.50~7.50 16.00~18.00 - 2.00~3.00 -
SUSXM7 0.08以下 1.00以下 2.00以下 8.50~10.50 17.00~19.00 - 3.00~4.00 -
高強度ステンレス鋼 SUS631 0.09以下 1.00以下 1.00以下 6.50~7.75 16.00~18.00 - - AL0.75~1.50
SUS301 0.15以下 0.80~1.00 2.00以下 6.00~8.00 16.00~18.00 - - N0.03~0.70
SUS304N2 0.08以下 1.00以下 2.50以下 7.50~10.50 18.00~20.00 - - N0.15~0.30
Nb0.15以下
非磁性高力ステンレス鋼 SUS305 0.12以下 1.00以下 2.00以下 10.50~13.00 17.00~19.00 - - -
NASNM15M 0.04~0.09 0.90以下 14.00~15.00 4.00~4.60 16.50~17.50 - - N0.30~0.35
NASNM17 0.04~0.09 0.90以下 16.00~17.00 7.00~8.00 16.50~17.50 - - N0.125~0.175
NAS304LG 0.03以下 1.00以下 2.00以下 11.00~13.00 18.00~19.00 - - -
オーステナイト耐酸化鋼 SUS302B 0.15以下 2.00~3.00 2.00以下 8.00~10.00 17.00~19.00 - - -
SUS309S 0.08以下 1.00以下 2.00以下 12.00~15.00 22.00~24.00 - - -
SUS310S 0.08以下 1.50以下 2.00以下 19.00~22.00 24.00~6.00 - - -
フェライトステンレス鋼 SUS430 0.12以下 0.75以下 1.00以下 - 16.00~18.00 - - -

 ※メーカー独自鋼種

記号 耐力
(N/mm2)
引張強さ
(N/mm2)
伸び
(%)
硬さ 特長
HRB HV HB
SUS301 205以上 520以上 40以上 95以下 218以下 207以下 常温強度、加工硬化性は304より優れる
SUS301J1 205以上 570以上 45以上 90以下 200以下 187以下 一般耐食、家庭用器物
SUS304 205以上 520以上 40以上 90以下 200以下 187以下 硝酸など強化性酸に耐食、耐熱
SUS316 205以上 520以上 40以上 90以下 200以下 187以下 希硝酸、亜硫酸、酢酸及び各種有機酸に耐食、耐孔食
SUS304N1 275以上 550以上 35以上 95以下 220以下 217以下 316並みの耐候性
SUS301L 215以上 550以上 45以上 95以下 218以下 207以下 301+耐食性(耐粒界腐食性)
SUS304L 175以上 480以上 40以上 90以下 200以下 187以下 301+耐食性(耐粒界腐食性)
SUS304LN 245以上 550以上 40以上 95以下 220以下 217以下 304L+高強度
SUS321 205以上 520以上 40以上 90以下 200以下 187以下 304+耐粒界腐食性、650℃までの高温用としても使用される
SUS347 205以上 520以上 40以上 90以下 200以下 187以下 304+耐粒界腐食性、650℃までの高温用としても使用される
SUS316L 175以上 480以上 40以上 90以下 200以下 187以下 316+耐粒界腐食性
SUS329J4L 450以上 620以上 18以上 HRC95以下 320以下 302以下 329J3L+耐孔食、耐隙間腐食性、高強度
NAS155N 245以上 550以上 35以上 95以下 220以下 217以下 耐硫酸、硫酸露点腐食
SUS836L 295以上 635以上 35以上 96以下 230以下 217以下 高耐食スーパーステンレス(耐海水)
NAS354N 295以上 640以上 35以上 96以下 230以下 - 高耐食スーパーステンレス(耐海水)
SUS304J2 155以上 600以上 55以上 80以下 155以下 - 深絞り鋼、耐食性は304と同等
SUS304 205以上 520以上 40以上 90以下 200以下 187以下 深絞り、張出し用
SUS304J1 175以上 480以上 40以上 90以下 200以下 - 超深絞り、張出し成型
SUSXM7 175以上 480以上 45以上 77以下 145以下 - 冷間加工性(非磁性)
SUS631 380以下 1030以下 20以上 92以下 200以下 190以下 析出硬化性マルテンサイト鋼、但し冷間成形性及び冷間加工硬化性あり
SUS631
TH1050処理
960以上 1140以上 3以上 HRC35以上 345以上 - -
SUS631
RH950処理
1030以上 1225以上 限定なし HRC40以上 392以上 -
NAS301N 245以上 690以上 38以上 95以下 220以下 - 301+高強度
SUS304N2 345以上 690以上 35以上 100以下 260以下 248以下 304+高強度
SUS305 175以上 480以上 40以上 90以下 200以下 187以下 304+冷間加工性(非磁性)
NASNM15M 205以上 690以上 30以上 98以下 240以下 228以下 高加工度状態でも非磁性抜群+高強度
NASNM17 (320) (650) (53) - (165) - 高加工度状態でも非磁性抜群、軟質で冷間加工性良
NAS304LG 175以上 480以上 40以上 90以下 200以下 187以下 304L+冷間加工性(非磁性)
SUS302B 205以上 520以上 40以上 95以下 218以下 207以下 耐高温酸化性は、304と310Sの中間
SUS309S 205以上 520以上 40以上 90以下 200以下 187以下 309より成形性溶接性良、耐酸鋼としても使用
SUS310S 205以上 520以上 40以上 90以下 200以下 187以下 310より成形性溶接性良、耐酸鋼としても使用
SUS430 205以上 450以上 22以上 88以下 200以下 183以下 一般耐食

※メーカー独自鋼種

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