ばね用ステンレス鋼帯

JIS G 4313ばね用ステンレス鋼帯

Cold rolled Stainless steel strip for springs

最終更新:2025.04.17
オーステナイト系ステンレス鋼の強い加工硬化特性や耐食性を利用した材料です。

冷間圧延によるばね用ステンレス鋼は、一般にオーステナイト系のSUS301やSUS304、及び析出硬化系のSUS631やSUS632J1が有名です。
この他でも、SUS420J2のようなマルテンサイト系ステンレス鋼に焼入焼戻を行い、ばね部品として用いることもあります。

特長と欠点

・耐食性が優れているため、めっきや塗装などの表面処理が不要。
・再結晶点が高いため、300℃位までの使用に耐える。
・銅合金系のばね材と比較して比重が小さく、弾性率が高いため軽量化が実現出来る。
・冷間加工による製品のため、方向性が強い。
・電気抵抗が高い。
・溶接、蝋付がやや難しい。
・同じばね性でも引張強さが高く、加工しにくい。

特性

種別記号圧延のまま低温焼鈍後
硬さ HV引張強さバネ限界値硬さ HV引張強さバネ限界値
SUS301SHE530~1910~(650~)550~1940~(880~)
EH490~1570~(590~)505~1665~(785~)
H430~1320~(490~)440~1400~(655~)
3/4H370~1130~(390~)380~1175~(540~)
1/2H310~930~(315~)315~960~(390~)
1/4H250~860~-253~880~-
SUS304H370~1130~(390~)385~1195~(590~)
3/4H310~930~(335~)320~970~(430~)
1/2H250~780~(275~)255~805~(315~)

 ※(  )は参考値です


低温焼鈍

ばね用ステンレス鋼は圧延のままでも使用できますが、強いばね性をご希望の場合は部品加工後400℃位で低温焼鈍を施されることを推奨します。この低温焼鈍は加工後で行うことが必要で、予め低温焼鈍を施したものに加工を加えると、低温焼鈍の効果が無くなります。
低温焼鈍の条件としては400~420℃で12時間加熱するのが最適です。製品の性能や設備、作業条件によっては200~450℃で適当時間処理することが望ましい場合もあります。

空気中の低温焼鈍により表面に酸化被膜(黄金色)が生じますが、この被膜は弱塩酸または機械的表面処理により簡単に除去できます。
なお、この400~420℃の低温焼鈍温度は最適な機械的性質が得られますが、耐食性がやや悪くなることから、耐食性を重視される場合は350℃以下の温度で処理されることを推奨します。
また、材料表面に汚れた油やごみ等の異物が付着したまま低温焼鈍を行いますと、焼付を生じ耐食性を害しますので、事前に洗浄を行ってください。

鋼種硬さ HV (下段 引張強さ N/m㎡)
1/2H3/4HHEHSHE
SUS 301-CSPオーステナイト系310~370~430~490~530~
930~1130~1320~1570~-
SUS 304-CSP250~310~370~--
780~930~1130~--
鋼種硬さ HV (下段 引張強さ N/m㎡)
O1/2H3/4HHEH
SUS 420J2-CSPマルテンサイト系~247----
SUS 631-CSP析出硬化系~200350~400~450~-
~10301080~1180~1420~-
熱処理後TH1050CHCHCH-
345~380~450~530~-
1140~1230~1420~1720~-
RH950----
1230~----
SUS 632J1-CSP--~350~420--
鋼種化学成分 (単位%)
CSiMnPSNiCrその他
SUS 301-CSP~0.15~1.00~2.00~0.045~0.0306.00~8.0016.00~18.00-
SUS 304-CSP~0.08~1.00~2.00~0.045~0.0308.00~10.5018.00~20.00-
SUS 420J2-CSP0.26~0.40~1.00~1.00~0.040~0.030-12.00~14.00-
SUS 631-CSP~0.09~1.00~1.00~0.040~0.0306.50~7.7516.00~18.00AL:0.75~1.5
SUS 632J1-CSP~0.09~1.00~1.00~0.040~0.0306.50~7.7513.50~15.50Cu:0.40~1.00
Ti:0.20~0.65
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