オイルテンパー線

JIS G 3560 / JIS G 3561オイルテンパー線

Oil temper wires

最終更新:2023.01.05
冷間加工後にオイルテンパー処理を施したワイヤーです。 バルブスプリング・クラッチスプリング・サスペンションスプリング・ディーゼルエンジン噴射用スプリングなどの、耐熱性や耐疲れ性・耐へたり性を必要とされる自動車部品に幅広く使用されています。 焼き入れ焼き戻しによって所定の弾性限が与えられたばね材料で、巻き癖がなく降伏比が高いことが特徴です。

・JIS G 3560 ばね用オイルテンパー線

種類 記号 適用線径 摘要
ばね用炭素鋼オイルテンパー線A種 SWO-A 2.00mm以上 12.0mm以下 主として静荷重を受けるばね用
ばね用炭素鋼オイルテンパー線B種 SWO-B 主として動荷重を受けるばね用
ばね用シリコンクロム鋼オイルテンパー線 SWOSC-B 1.00mm以上 15.0mm以下
ばね用シリコンマンガン鋼オイルテンパー線A種 SWOSM-A 4.00mm以上 14.0mm以下
ばね用シリコンマンガン鋼オイルテンパー線B種 SWOSM-B
ばね用シリコンマンガン鋼オイルテンパー線C種 SWOSM-C 4.00mm以上 12.0mm以下

 

・JIS G 3561 弁ばね用オイルテンパー線

種類 記号 適用線径
弁ばね用炭素鋼オイルテンパー線 SWO-V 2.00mm以上 6.00mm以下
弁ばね用クロムバナジウム鋼オイルテンパー線 SWOCV-V 2.00mm以上 10.0mm以下
弁ばね用シリコンクロム鋼オイルテンパー線 SWOSC-V 0.50mm以上 8.0mm以下


弁ばね用オイルテンパー線は、特に厳しい耐疲労性が求められる自動車エンジン用弁ばねやクラッチ、トルクコンバーター用ばねに使用されます。
高い応力が数百万回~数千万回以上も負荷されるこれらのばねは、線内部に存在する非金属介在物や線表面の微細な疵が起点となって疲労破壊に至る恐れがあるため、非金属介在物の組織制御(無害化)を目的に、製鋼時に転炉または電炉で溶解した後にレードルにて炉外精錬を実施しています。
更に、圧延後に線材表面に存在する疵や脱炭等の表面欠陥を除去するために、線材表面部全周を取り除く皮剥き工程(100~150μm)を採用し、過流探傷も実施しています。

JIS規格 海外相当規格
ASTM DIN BS IS
JIS G 3560 ASTM A229 / A229M DIN 17223 sheet 2 FD BS 2803 -

 

種類  記号 C Si Mn P S Cr Cu
ばね用オイルテンパー線 A種 SWO-A 0.53~0.88 0.10~0.35 0.30~1.20 0.040以下 0.040以下 - - -
ばね用オイルテンパー線 B種 SWO-B 0.53~0.88 0.10~0.35 0.30~1.20 0.030以下 0.030以下 - -
ばね用シリコンクロム鋼オイルテンパー線 SWOSC-B 0.51~0.59 1.20~1.60 0.50~0.90 0.035以下 0.035以下 0.55~0.90 - -
ばね用シリコンマンガン鋼オイルテンパー線 SWOSM 0.59~0.64 1.50~1.80 0.70~1.00 0.035以下 0.035以下 - 0.30以下 -
弁ばね用炭素鋼オイルテンパー線 SWO-V 0.60~0.75 0.12~0.32 0.60~0.90 0.025以下 0.025以下 - 0.20以下 -
弁ばね用クロムバナジウム鋼オイルテンパー線 SWOCV-V 0.45~0.55 0.15~0.35 0.65~0.95 0.025以下 0.025以下 0.80~1.10 0.20以下 0.15~0.25
弁ばね用シリコンクロム鋼オイルテンパー線 SWOSC-V 0.51~0.59 1.20~1.60 0.50~0.80 0.025以下 0.025以下 0.50~0.80 0.20以下 -
  • ばね用オイルテンパー線:JIS G 3560

引張強さ  (単位:N/mm2)

 
標準線径mm SWO-A SWO-B SWOSC-B SWOSM-A SWOSM-B SWOSM-C
1.0 - - 1960~2110 - - -
1.2 - - 1960~2110 - - -
1.4 - - 1960~2110 - - -
1.6 - - 1960~2110 - - -
1.8 - - 1960~2110 - - -
2.0 1570~1720 - 1910~2060 - - -
2.3 1570~1720 1720~1860 1910~2060 - - -
2.6 1570~1720 1720~1860 1910~2060 - - -
2.9 1520~1670 1670~1810 1910~2060 - - -
3.0 1470~1620 1620~1770 1860~2010 - - -
3.2 1470~1620 1620~1770 1860~2010 - - -
3.5 1470~1620 1620~1770 1860~2010 - - -
4.0 1420~1570 1570~1720 1810~1960 1470~1620 1570~1720 1670~1810
4.5 1370~1520 1520~1670 1810~1960 1470~1620 1570~1720 1670~1810
5.0 1370~1520 1520~1670 1760~1910 1470~1620 1570~1720 1670~1810
5.5 1320~1470 1470~1620 1760~1910 1470~1620 1570~1720 1670~1810
5.6 1320~1470 1470~1620 1710~1860 1470~1620 1570~1720 1670~1810
6.0 1320~1470 1470~1620 1710~1860 1470~1620 1570~1720 1670~1810
6.5 1320~1470 1470~1620 1710~1860 1470~1620 1570~1720 1670~1810
7.0 1230~1370 1370~1520 1660~1810 1420~1570 1520~1670 1620~1770
8.0 1230~1370 1370~1520 1660~1810 1420~1570 1520~1670 1620~1770
8.5 1230~1370 1370~1520 1660~1810 1420~1570 1520~1670 1620~1770
9.0 1230~1370 1370~1520 1660~1810 1420~1570 1520~1670 1620~1770
9.5 1180~1320 1320~1470 1660~1810 1370~1520 1470~1620 1570~1720
10.0 1180~1320 1320~1470 1660~1810 1370~1520 1470~1620 1570~1720
10.5 1180~1320 1320~1470 1660~1810 1370~1520 1470~1620 1570~1720
11.0 1180~1320 1320~1470 1660~1810 1370~1520 1470~1620 1570~1720
11.5 1180~1320 1320~1470 1660~1810 1370~1520 1470~1620 1570~1720
12.0 1180~1320 1320~1470 1610~1760 1370~1520 1470~1620 1570~1720
13.0 - - 1610~1760 1370~1520 1470~1620 -
14.0 - - 1610~1760 1370~1520 1470~1620 -
15.0 - - 1610~1760 1370~1520 - -

中間にある線径の引張強さは、それより大きい標準線径の値を用いる。


  • 絞り

線径 mm 絞り %
1.00以上 3.00以下 45以上
3.00を超え 5.00以下 40以上
5.00を超え 8.00以下 35以上
8.00を超え 14.0以下 30以上

  • 線径の許容差及び偏径差

線径 mm 許容差 偏径差
1.00以上 1.40以下 ±0.025 0.025以下
1.40を超え 3.20以下 ±0.035 0.035以下
3.20を超え 5.60以下 ±0.045 0.045以下
5.60を超え 8.50以下 ±0.060 0.060以下
8.50を超え 10.0以下 ±0.070 0.070以下
10.0を超え 15.0以下 ±0.090 0.090以下

  • きずの深さ

線径 mm きずの深さ
1.00以上 2.00以下 0.02mm以下
2.00を超え 6.00以下 線径の1.0%以下
6.00を超え 15.0以下 線径の1.4%以下

 

・弁ばね用オイルテンパー線:JIS G 3561

標準線径mm SWO-V SWOCV-V SWOSC-V
0.50 - - 2010~2160
0.60 - - 2010~2160
0.70 - - 2010~2160
0.80 - - 2010~2160
0.90 - - 2010~2160
1.00 - - 2010~2160
1.20 - - 2010~2160
1.40 - - 1960~2110
1.60 - - 1960~2110
1.80 - - 1960~2110
2.00 1620~1770 1570~1720 1910~2060
2.30 1620~1770 1570~1720 1910~2060
2.60 1620~1770 1570~1720 1910~2060
2.90 1620~1770 1570~1720 1910~2060
3.00 1570~1720 1570~1720 1860~2010
3.20 1570~1720 1570~1720 1860~2010
3.50 1570~1720 1570~1720 1860~2010
4.00 1570~1720 1520~1670 1810~1960
4.50 1520~1670 1520~1670 1810~1960
5.00 1520~1670 1470~1620 1760~1910
5.50 1470~1620 1470~1620 1760~1910
5.60 1470~1620 1470~1620 1710~1860
6.00 1470~1620 1470~1620 1710~1860
6.50 - 1420~1570 1710~1860
7.00 - 1420~1570 1660~1810
7.50 - 1370~1520 1660~1810
8.00 - 1370~1520 1660~1810
8.50 - 1370~1520 -
9.00 - 1370~1520 -
9.50 - 1370~1520 -
10.0 - 1370~1520 -

中間にある線径の引張強さは、それより大きい標準線径の値を用いる。

  • 絞り

線径 mm 絞り %
1.00以上 3.50以下 45以上
3.50を超え 10.00以下 40以上
  • 線径の許容差及び偏径差

線径 mm 許容差 偏径差
0.50以上 3.20以下 ±0.020 0.020以下
3.20を超え 5.60以下 ±0.030 0.030以下
5.60を超え 8.50以下 ±0.040 0.040以下
8.50を超え 10.0以下 ±0.050 0.00以下
  • きずの深さ

線径 mm きずの深さ
0.50以上 2.00以下 0.01mm以下
2.00を超え 6.00以下 線径の0.5%以下
6.00を超え 10.0以下 線径の0.7%以下
  • ばね用鋼線の最適低温焼鈍温度

種類 振動の少ないばね
静的に使用するばね
耐疲労性を要求されるばね
熱処理温度(℃) 時間(分) 熱処理温度(℃) 時間(分)
ピアノ線 SWP 200~350 15~20 動的用 300~350 20~30
硬鋼線 SW 静的用 200~250 20~30
炭素鋼オイルテンパー線 SWO 200~350 15~20 300~350 20~30
弁ばね用クロムバナジウム鋼
オイルテンパー線
SWOCV-V 230~400 15~20 300~400 20~30
シリコンマンガン鋼
オイルテンパー線
SWOSM 230~400 15~20 300~400 20~30
弁ばね用シリコンクロム鋼
オイルテンパー線
SWOSC-V 300~450 15~20 400~450 20~30
ステンレス鋼線 SUS302
SUS304
250~400 15~20 350~400 20~30
析出硬化系ステンレス鋼線 SUS631J1 470±10 60 470±10 60

コイリング後の低温焼鈍(ブルーイング)のみに適用し、ショットピーニング後の低温焼鈍には200~250℃にて20分を適用します。
ねじりコイルばねにおいてコイリングによる残留応力を有効に生かすため、低温焼鈍をしない方が良い場合があります。
静的用:初張力を必要とする引張ばね、静的高応力ばね ⇔ 動的用:動的高応力ばね。

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